心と身体、発達のリハビリテーション、精神病理学の領野に関わりながら作品制作、研究活動を展開してきたアーティスト・大崎晴地による新作を公開します。うちでたのしむ(オンライン)プログラムとして、フィールドワークをもとに書きおろした「八角巡礼 夢の領土」も公開します。
クリックすると動画が再生されます。
コロナ禍で人々が自粛生活を余儀なくされている現在、誰もが障害者であるとの認識のもと、 どのように美術館に足を運んでもらうかを考え、オンライン上でまず会場に向かう導線として「八角物語」を綴るに至りました。「八」は復活を意味する数字でもあります。通常の観光では体験できないような巡礼地を探し、現地(オフライン)のプログラムも展開されます。
私はこれまで主に重度の脳性麻痺児や発達障害、また精神病の患者さんの現場に通いました。そこで彼・彼女の経験していること、見えている、感じていることはどのようなものかを強く意識させられました。健常な視点に合わせようと関わるのではなく、むしろこちらが障害の経験に向かう、または自分も「障害者になる」という境界のない関係性に身を置いてきました。
コミュニケーションの前提となる関係そのものが成立しない以上、つながりを作ることから創造する必要があります。そこにアートの持つ可能性を見てきました。
「障害」という言葉はネガティブなものではなく、むしろ異なる経験をしている点でポジティブな「違い」であり、メビウスの輪のように、時に自分も障害を持ち、インサイドもアウトサイドもない経験から捉える想像力が重要だと考えています。
障害によって生じる場や関係性の中で、身体や境界をめぐる「ねじれ」を通して、それぞれの自分の生を問い直す機会としての作品「ねじれの巡礼」を発表します。
大崎晴地
1981年東京都生まれ。2014年東京藝術大学大学院美術研究科博士課程修了。博士(美術)。心と身体、発達のリハビリテーション、精神病理学の領野に関わりながら作品制作、研究活動をしている。知覚の欠損や不完全さ、身体運動にかかわる作品を発表し、「エアートンネル」(2013)では児童福祉施設などで発達や療育にも活用してきた。近年は、生活空間を問い直す「障害の家」プロジェクト(2015~)がある。
⽇程 |
|
---|---|
会場 |
|
企画 | 京都国立近代美術館 |