写真やドローイングの上に刺繍を施した布を重ねたインスタレーションや、壊れた日用品を布で包んで刺繍する「修復シリーズ」を発表するアーティスト、竹村京(たけむら・けい)による展示を行います。作品にふれることで、縫い留められた誰かの大切なものの記憶に思いをめぐらす機会となるでしょう。

作家より

シドニーの雨降りの空港で、2020年1月29日、オーストラリアが中国からの入国を禁止した頃、日本でマスクが買い占められ始めた頃です。(実は私そんなことが日本で起こっているとは知らず、森林火災でPM2.5がやばいと聞いてオーストラリアの友人達にお土産でマスクを大量に持って行ったのですが、日本のニュースに詳しい友人たちにそのまま持って帰れと言われました、私が行ったタイミングで丁度雨が降り始めまして、うっかり土砂災害が起きたほど。おかげで火も収まり空気もクリーンに)あの日の空港の不穏さと恵の雨の組み合わせがこの作品の背景となっています。空港にはさまざまな人々が行き交いとどまることもなく過ぎていくことが、毎日使うものが私たちの生活をすぎて壊れていくこととつながるように思え、過去に色々な人々に使われ、壊れ、修復したものを思いだし縫いとめるこの作品をつくりました。

2021年9月 竹村京

竹村京《Floating on the River》2021年

竹村京《Floating on the River》2021年

竹村京《修復された地球儀の貯金箱》2000年-現在 、作家蔵

竹村京《修復された地球儀の貯金箱》2000年-現在 、作家蔵